株式会社トミヤコーポレーション

【事業内容】
岡山市の表町商店街で1932年より営まれる宝飾・時計の専門店。現在は西日本に計14店舗を展開し、ジュエリー、時計のほかアイウェア、オーディオなど世界のさまざまな一流ブランドアイテムを扱う。
【インタビュー記事】

「祖父が宝石店として創業し、その後、父の代になってから徐々に店舗と取り扱いアイテムを増やしてきました。現在は岡山・表町商店街内に8店、倉敷に1店、広島に2店、福岡に1店を展開し、正規輸入時計やジュエリー、貴金属、生活雑貨などを扱っています。」

「それはもう、メーカーさまとの間に築いてきた長い信頼関係あってのもの。正規輸入代理店には誰もがなれるわけではなく、販売力やサービスの質などを含めたトータルな実力を、メーカーに認めていただかなくては始まりません。

今ではメーカーの方から、新規出店やコラボレーション商品のお話を持ちかけていただけるようになり、より広いエリアからお客さまを呼び込めるようになりました。」

「本店の上が自宅だったので店の様子は毎日目にしていましたけど、子どもの頃は時計にも家業にもまったく興味がありませんでした。東京の大学に進んだものの、就職活動にも身が入らないまま過ごしていたところ、父に戻ってこいと言われました。」


「入っていきなり、新規オープンした『フランクミュラー』の店長に就くことになったんです。『ここできちんと数字を出さなくては周りから認めてもらえない』との一心で、3年間1日も休まず必死に仕事に打ち込みました。

でもそれは苦労というよりは、本能的にやっていたという感じ。知識がつくほど時計が好きになりましたし、店頭でお客さまと接するのも楽しかったですね。」

「就任1年目のルーキーイヤーに、あろうことか赤字を出してしまったんですよ。リーマンショックの影響ではあったものの、業績が落ちると周囲の信頼も途端に落ち、商売の厳しさを痛感しましたね。

そこで会社の運営を根本から見直し、甘い部分を徹底的につぶすことで業績を回復させました。苦い経験ですが、1年目にこの洗礼を受けたことで、今のコロナ禍にも動じることなく対応できています。

「こんな状況ですが、やっぱり顔と顔を合わせたコミュニケーションが一番大事。こちらからなにか想いを伝えるにしても、普段から一緒に仕事をしている間柄かどうかで、伝わり具合も変わってきますからね。

店舗数は多いですが、こまめに各店に足を運んでスタッフと話をしたり、一緒に飲みに行ったりしていますよ。」

「この先さらに出店エリアを広げ、岡山のトミヤから中国、西日本のトミヤへと成長していきたいですね。

同時に、地元・表町商店街を盛り上げていくことも先代からの重要なミッション。岡山の人が大きな買い物をするときに、大阪や神戸に行ってしまうのは寂しいじゃないですか。一生の記念となる品を、ぜひこの場所で買いたいと思えるような、にぎわいのある街を作っていきたいです。」


【ライター後記】
店舗の雰囲気そのままの、端正で華のある佇まい。それでいて話しぶりは飾らず、言葉の端々から社員に対する誠実な思いが伝わってきました。多くの社員の方が「ついていきたいと思わせてくれる人」と話していたのも、納得です。